祈りの庭

祈りの庭

上原浩子

2024.2.2 Fri - 2024.3.2 Sat

この度、TEZUKAYAMA GALLERYでは3年ぶりとなる上原浩子の個展「祈りの庭」を開催いたします。
1985年、群馬県に生まれた上原は、2012年に京都市立芸術大学大学院美術研究科を修了。その後も現在に至るまで京都を拠点に制作活動を続けています。
大学院修了後はそれまで制作していた絵画作品と並行しながら、立体作品の発表も精力的に行うようになり、自身の表現の幅を広げてきました。絵画制作で培った描写力と以前から興味があったと話す日本古来より伝わる自然の中に精霊や神が宿ると言われるアニミズムの思想に感化され、一貫して植物と人間の融合をテーマに制作しています。モチーフとされる生き物の表情は穏やかで、繊細で柔和に表現された肌からは、神々しく優しくも強い生命力を感じることができます。

上原は2021年の個展の際、北海道・野付半島にある「トドワラ」から着想を得て作品を制作いたしました。今展では、特定の土地が持つ性質ではなく、あらゆる神聖な場所で人々が行ってきた「祈り」にフォーカスをあてた展覧会を開催いたします。

生物の内側に秘めた力が滲み出た作品が並ぶことで、ギャラリー空間は穏やかな緊張感が広がる幻想的な場所となるでしょう。

 

〈アーティストステートメント〉

今回の展示では「祈り」をテーマとして作品の制作をしています。

当初は、自分が過去に訪れた場所を糸口にした作品の構想を練っていました。展示する作品のほとんどが、そうした場所の景色とそこで感じたこ

とをベース作り始めたものです。

屋久島の森、沖縄の斎場御嶽、高千穂、戸隠。

四つの場所はそれぞれの土地に独特の植生や自然の造形があり、特に印象深く心に残った場所です。

山岳信仰や琉球神道、日本神話ゆかりの地であり、はるか昔から数多の人々の祈りの受け皿となってきた場所でもあります。

どこも観光で訪れた私は部外者であり、その場所へ祈りを捧げてきた人たちに想いを馳せることしかできません。

自然への畏敬、そこへ向けられる人の祈り、段々とそんなことを考えながら制作を進めるようになり、今回のテーマを「祈り」としました。