Exhibition 2025

Exhibition 2025

築山有城

2025.7.12 Sat - 2025.8.9 Sat

このたび、TEZUKAYAMA GALLERYでは7月12日より彫刻家、築山有城の個展「Exhibition 2025」を開催いたします。

1976年に兵庫県神戸市に生まれた築山は、2000年に京都造形芸術大学芸術学部美術科彫刻コースを卒業、現在に至るまで出身地である神戸に拠点を置き、関西を中心に精力的に活動をしている彫刻家です。2023年6月からはアートと社会のより良い関係をつくるべく活動している神戸のアーティストコミュニティC.A.P.(芸術と計画会議)の代表も務めています。

築山が扱う素材は金属や樹脂、木、塗料など多岐に渡りますが、制作の出発点は常に素材そのものにあります。彼自身が「遊び」と呼ぶ実験を繰り返す中から素材固有の特性を捉え、それを作品主題の一部とする点において、築山の作品制作には一貫した姿勢が感じられます。

本展では、4年前に築山が知人の会社から譲り受けた大きなクスノキとの出会いがきっかけとなり、じっくりと乾燥させたその木材をもとに構想された作品を展示しています。築山は、子供たちがテレビゲームの中で家や橋などの構造物を自由に作り上げていく様子を見て、「実際に自分の手で作ってみればいいのに」と感じたそうです。そこから着想を得て、今回の作品づくりへとつながりました。子どもの遊びとは、自分の「好き」を見つけ出し、「やりたい」という意志に基づいて行動することであり、それは人間の社会文化の根源でもあります。「つくる」という行為=遊びを通じて、そのおもしろさを観る人と共有しながら、「つくること」の価値を改めて見つめ直していきます。

どうぞ、この機会にご高覧くださいませ。

 

[アーティスト ステートメント]

子供たちがテレビゲームで次々と家や落とし穴などの構築物をつくっていく様子を観ていて思いつき、ゲームじゃなくて本当につくってみたら楽しいよと伝えてみても彼らはきょとんとしている。

兵庫県の県木であるクスノキは切る度に清々しい香りを放ち、私の脳に刺激を与え、こちらの制作にむかう姿勢も「木彫モード」へと変換される。素材に寄らない制作発表を続けているが、クスノキは私にとって特別な存在であることに違いない。

切り倒された時のままの様態と、ゲームのように鋸や鑿で切り揃えたグリッド状の部分を対比させる。

今日1日の努力は明日につながり、明日自分にかかる負荷をうまく捌く技術となっていく。そうやって毎日少しずつ小さな成果を積み重ねてこの木彫はできている。

2020年に6Gを発表した時、もう2度と鋸は握らないと宣言したが、結局私は鋸を引き、刃物を研ぎ、鑿を打っている。単純に道具と素材のせめぎ合いが好きなのだ。

失敗を繰り返しながら創意工夫して自分が持っている技術やアイデアを総動員し、制作にあたる。そういった「つくる」という行為のおもしろさがみなさんに伝わればいいなと思う。

築山有城